2/04/2014

オーギュスト・ペレとフランクリン通り25番地のアパート

 

L'appartement 25 rue Franklin d' Auguste Perret

16区のフランクリン通り25番地のアパートは、建築家オーギュスト・ペレが建てた、建築史に残る重要な建物です(1902-4年)。その当時最新の技術だった鉄筋コンクリートを使用し、周囲のアパートと一目で区別できるペレ独特なシャープな輪郭と、コンクリートの壁を覆う特殊なマロニエの葉のレリーフが特徴。またアパートの内装はあえて壁を半モジュールにし、開けば広いオープンスペースにできるように設計してあります。これも鉄筋のおかげで柱のない広い空間が可能になったためで、ル・コルビュジエが提唱した5つの建築のセオリーとして有名です。正面ホールだけでなく、裏階段にエレベーターがあるのも最新式。パリでは裏階段は元使用人用だったためエレベーター無しが多く、日本より天井が高いこともあり7、8階までの上り下りはかなりなスポーツ。

 

  

ファッサードのドア横や入口ホールの階段の明かり取りの窓は(写真左)、上右の立体6角形の手作りの美しい吹きガラスのはめ込みで、年月を経て壊れてしまっても、今同じものを作ると高価になりすぎるため、資金難で修復ができきず、漆喰などで穴を埋めたままに放置されているのが残念です。
フランクリン通りのすぐ近くのレイノー通りには、ペレが住居とオフィスを持っていたアパートがあります。勿論彼自身が建て(1932年)、同じく独特のシャープなラインのデザインに、こちらはレリーフが無い鉄筋コンクリートのままの壁なので、現代人の目にはちょっぴりチープな印象・・しかし高価な石造りに代わる鉄筋コンクリート(当時は最新のモダンな素材)のお陰で、低所得者向けのアパートの建築や、高層ビルの建設が可能になったのです。

     
ペレは最上階に住んでいたそうです。右はシンプルな正面入り口側

パリにあるペレの作品として有名なのは、シャンゼリゼ劇場(これは美しい建物で、内部の装飾は繊細なラインのアール・デコ)、Palais d'Iénaパレ・ディエナ、Salle Cortotサル・コルトーなど。19日までこのパレ・ディエナで“オーギュスト・ペレの8つの傑作、鉄筋コンクリートの建築”という展覧会をやっているので、上記のアパートを始めとする彼の代表作の模型や図面、彼がデザインした自分のデスクなどを見ることができます。


オーギュスト・ペレ作のパレ・ディエナ正面ホールの、鉄筋コンクリートの円柱に支えられた高い天井と巨大な階段
パレ・ディエナの会議室の息を飲む美しさのドーム

ついでに付け加えると、オーギュスト・ペレ展にシャナ・オルロフ作のペレの像がありました。ペレとは親しい友人だったそうで、彼女のアトリエはペレが作っています。

Auguste Perret, Huit chefs d'oeuvre, Architectures du Bêton armé
Palais d'Iéna  9 Pl. d'Iena   http://www.lecese.fr/content/auguste-perret-huit-chefs-doeuvres-architectures-du-beton-arme

オーギュスト・ペレのパレ・ディエナ 
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2019/10/fiac.html
オーギュスト・ペレのヴィラ・スーラ
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2013/09/blog-post_20.html
オーギュスト・ペレのチャペル
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2014/11/blog-post_12.html
オーギュスト・ペレのモビリエ・ナショナル
http://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2020/05/blog-post_2.html

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